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カッパの秘伝薬(八幡西区)

イラスト/橋本悦代さん(小倉北区在住)
イラストレーター。絵本コンクール優良賞受賞・ビジュアル部門優秀賞受賞、「読み聞かせお話雑誌 おひさま」(小学館)で第14回絵本部門最優秀賞受賞。 http://www.h7.dion.ne.jp/~etuyonga/

むかし、木屋瀬が長崎街道の宿場町として栄えた、そのずうっと前のこと、付近の川にはたくさんのカッパがすんでいました。ここのカッパはいたずらが大好きで、毎日がとてもにぎやかでした。
子カッパたちは、人間の子どものように遊びやいたずらが大好きで、特に相撲となると、頭の皿の水が乾くのも忘れるほど熱中しました。
ある日、わんぱくな子カッパがつり糸を作ろうとしました。人間の子どもが馬のしっぽの毛を使ってつり糸を作っているのを見て、自分もやってみようと思ったのです。
そうとも知らず、川原では馬がのんびりと草を食べていました。
子カッパは、後ろからそうっと近づくと、一番長い毛を「えいっ」と力いっぱい引っ張りました。  「ヒヒーン」――驚いた馬は、後ろ足で思いっきり子カッパを蹴飛ばし、子カッパは、腕の骨が折れてしまいました。  「えーん、痛いよう。痛いよう」子カッパは、痛さのあまり、おいおい泣いています。
そこへ、カッパの長老が通りかかりました。「いたずらばかりしているから、こんな目にあうんだぞ」と叱りましたが、おいおい泣く子カッパを見てかわいそうに思い、何やら紙にすらすら書くと、「これを持って、人間の医者のところへ行きなさい」と言いました。お医者さんは子カッパの持ってきた手紙を見ると、「かたつむりのからを半分、どらねこのひげを一本、山芋の実を二つ、帆柱山の杉の実三つをすりつぶして、折れた骨の上にぬり、大きなキュウリ四本を頭にのせると治る」と書いてありました。
お医者さんは「なんとも変わった薬じゃ」と不思議に思いましたが、書いてある通りにすると、今まで泣いていた子カッパが急に元気を取り戻して、ぴょんぴょん飛び回っています。心配そうに見守っていた仲間のカッパたちも、大喜びです。
その後、このカッパ秘伝の骨つぎ薬で有名になったお医者さんのところには、頭にキュウリをのせた人間たちがたくさん出入りするようになり、たいそう栄えたということです。

「北九州の民話」読み語り

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語り手
りゅう雅登さん

語り手は、小倉南区に拠点をもつ「劇団 響座『朗読家集団 読房(どくぼう)』」のメンバー。朗読や語り物、音楽性をもった演劇の実験公演を行ったり、劇団の1階倉庫を改造して囲炉裏部屋を作り、民話の一人語りや群読、狂言風笑劇などを、地域の人たちに無料で楽しんでもらったりといった、地域密着の活動をしています。
今回の語り手は、同劇団代表・りゅう雅登さん。岩手県の「遠野物語研究会」会員でもあります。方言も取り入れた、味わい深い民話の語りを楽しんで!

参考文献「北九州むかしばなし」

このシリーズを始めるにあたって参考にしたのは、北九州市が発行する民話と伝説マップ「北九州むかしばなし」。 北九州市内の地域に伝わる民話42話を、ゆかりの場所の地図と合わせて紹介しています。A4版変型、87P、頒布価格1000円。ブックセンタークエストなどで取り扱い。詳細の問い合わせは、(財)北九州市芸術文化振興財団(問093・662・3012)へ。