海御前とカッパの証文石(門司区)

粘土細工/ヨシオミドリさん(北九州市在住)
粘土作家・イラストレーター。2006年西日本新聞「読者投稿写真年間賞」優良賞、2009年「四万十川カッパ造形大賞」入賞ほか。12月10日(木)~平成22年1月31日(日)、下関市「(庵)かくれんぼ」(TEL:0832・58・1235/水曜定休)で個展「ネンド・パレードvol.5おもちゃばこ」開催。http://chinashi.biz
味方の兵が次々に倒されていく中、平家の女官や奥方たちは、もはやこれまでと船から身を投げ、ついに平清盛の未亡人であった二位の尼も、幼い安徳天皇を胸に抱き、「海の中にも都がございます」と入水してしまいました。それを見届けた海御前も、敵の船に飛び移り、敵将を一刀のもとに斬り落とし、後を追って海に沈んでいきました。
いつの頃からか、この海御前がカッパの総帥として支配するようになったと言われます。毎年水ぬるむ季節になると海御前はカッパたちを集め、「今日から、村里への出入りを許します。白や笹(源氏の旗と紋)にゆかりのある者に出会ったら水の中に引き入れておしまい。ただ、むやにみ生き物の命をとってはいけません」と命令しました。
「殿様、どうぞ勘弁してください。頭の皿が乾くと死んでしまいます。もう決して悪さはいたしません」。哀れに思った殿様は、「カッパとて命の大切なのは同じじゃ。これからは決して人間や生き物に危害を加えてはならぬぞ」と戒めて、許してやりました。カッパは泣いて喜び、「この岩が腐ってなくなるまで決して悪さはいたしません」と誓って川へ戻っていきました。この岩は「カッパの証文石」といって、今でも乙女川のほとりに残っています。
「北九州の民話」読み語り
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語り手
上原禮子さん
今回の語り手は、同劇団の上原禮子さん(小倉北区在住)。方言も取り入れた、味わい深い民話の語りを楽しんで!

参考文献「北九州むかしばなし」
このシリーズを始めるにあたって参考にしたのは、北九州市が発行する民話と伝説マップ「北九州むかしばなし」。 北九州市内の地域に伝わる民話42話を、ゆかりの場所の地図と合わせて紹介しています。A4版変型、87P、頒布価格1000円。ブックセンタークエストなどで取り扱い。詳細の問い合わせは、(財)北九州市芸術文化振興財団(問093・662・3012)へ。