> > > 食 > かしわめし

昔ながらの経木(きょうぎ)の折り箱。ふたを取ると、ほのかな木の香とともにかしわめしの甘い香りとノリの香りが広がります。北九州の駅弁と言えば「かしわめし」。その人気の秘密を探りました。
「かしわめし」の歴史
かしわめしは、創業者の本庄厳水(いわみ)さん(元国鉄の門司運転事務所長)が、水炊きとかしわめしで客をもてなす福岡の郷土をしのばせる駅弁を作りたいと思い考案しました。 大正10年(1921年)、鹿児島本線と筑豊本線の交差する折尾駅で販売開始。かしわめしの上に錦糸卵を乗せるので、名称は「親子めし」でしたが、立ち売りのかけ声が「おやころし~」に聞こえるということで「かしわめし」に変えたとか。 昭和19年末、戦争で一時途絶えたものの、22年3月に復活。4業者統合の「東筑鉄道構内営業有限会社」は、昭和30年に「株式会社東筑軒」という社名になりました。

昔のかけ紙・年代不詳
門外不出! 秘伝の味
まろやか風味のご飯と、甘辛いかしわの調和がとれあきのこない味。その決め手は調味料の配合。創業者の妻・スヨさんから、代々親族にだけ受け継がれてきた秘伝です。 今でも、この秘伝の配合を任されているのは東筑軒で1人だけ。だからこそ、ずっと変わらない伝統の味を守っていけるのですね。
折尾駅の顔
「べんとう~べんとう~かしわめし~」。
JR折尾駅(八幡西区)の5番ホームには、立ち売りの山口和利さん(60歳)の張りのある声が響き渡ります。山口さんは、8年前に事務職から転職して立ち売りを始め、福岡県内でただ1人の立ち売りとして活躍、平成15年度北九州市観光功労賞を受賞しました。
立ち売りは全国的にも珍しく、山口さんは今や折尾駅の顔、北九州の名物にもなっています。
昭和17年から使われている木箱は、弁当込みで12kg。山口さんは、その重さを肩と腰で支え、大きな売り声を出しながらホームの端から端まで売り歩いています。「最初のころは、人前で大声を出すのが恥ずかしく、体もきつかった。今は声の出方で自分の健康状態が分かるようになりましたよ。いい声が出る日は、体調もバッチリ! 体力が続く限り頑張りたい」と、にっこり。 今は、特急列車の窓が開かず、停車時間も短いので、もっぱら列車到着を待つ人が弁当を買うことが多いそうです。山口さんから弁当を買えるのは、火曜日以外の毎日午前9時から午後5時まで。
山口さんとの会話も楽しみのひとつですね。
こだわりの製法
かしわ(鶏肉)とガラを煮出し、そのだし汁にシイタケ、コンブ、カツオ節を加え、しょうゆ、みりんなど調味料で味付けしたものでご飯を炊く
細切れのかしわは、味付けしながら水分がなくなるまで煮詰め、香ばしく仕上げる
清潔な工場。流れ作業で盛り付けされる「かしわめし」。1日に3000個作られる

リビング北九州2004年10月9日号掲載 ※この情報は掲載時点のものです