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春の夢・マヨネーズに感謝

関西の先輩が来福。急きょミニ同窓会となった。昔話に花が咲く。行きつく先は自分の妻の話になる。

「この間、マヨネーズでケンカした。我慢できずに言ってしまった」と温厚だったAクン。彼はほとんどのおかずにマヨネーズをかけるクセがある。すると毎回「そんなにかけると身体に悪いでしょ」と妻に言われる。この繰り返しが何十年。その日は虫の居所も悪く、まるで子どもねと小馬鹿にした言動に聞き流しも限界にきた。

「今日まで変えられないってことは、言ってもムダだってことが何でわからないのか」と大声をあげた。「あなたこそ身体に悪いって何でわからないの」と冷ややかに返され言葉に詰まったという。

この日、帰ってから妻にこの話をした。「奥さんはマヨネーズをかけるわけを聞けばいいのにね。そうし続けるには必ずその人なりの理由がある」と妻は言った。彼のマヨネーズ行動の本当の理由は「味付けを考えてほしい」なのだ。

その夜、夢を見た。マヨネーズの神様が登場しておごそかに言った。「いい関係は、お互いが自由であることだ。“自由”とは、“自分の理由”のはじめと終わりの字をとったものだ。だからその人のもつ“自分の理由”を聞かなくてはいけない」。人は自分の理由を大事にされた時、自由を感じる。

神様の声を聞いて、妻の口癖の「お風呂に入って早く寝なさい」がフト気になった。まるで5歳の子ども扱いに腹を立てていつもケンカになるからだ。理由を聞いてびっくりした。「寝られないから」と言うのだ。私の遅く入る風呂の音が気になって、床(とこ)についているのに寝られないと言うのだ。

理由を聞いて、確かに妻の寝る「自由」を侵害していると思った。不自由な思いをさせて悪かったと素直に思えた。私はその場で謝り妻と和解した。ここで夢から覚めた。

インターネットで調べた。本来あり得ない水と油を交ぜたマヨネーズは「和解と融和の象徴」とあった。

中島俊介さんプロフィール

 北九州市立大学名誉教授
 臨床心理士・エッセイスト