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「いくら成功しても寂しいのは喜ぶ親のいないことです」と高齢の経営者は言った。成功よりも親を喜ばせたいという“本当の気持ち”に気付いたのだ。本当の気持ちはなかなか本人には自覚できにくい。
もうすぐ3月、年度が終わる。定年で退職される先輩に学生指導の心がけを聞いた。一言、「“本気”をいかに出させるか」と言われた。本気とは真剣な気持ちをいうけれど、本当の気持ちという意味ではないだろうか。ひとたび本当の気持ちに気付いてやり始めたことは、熱と光を帯びる。
学ぶのを動機づける喜びは3つあるといわれる。勝つ喜び・わかる喜び・やること自体の喜び。3番目が一番長続きして強いのは「内発された喜び」だからである。この喜びを得るには「自分もこういうスゴイ人になってみたい」という憧れの人に出会う必要があるとされる。若き日に「身体が震えるくらいスゴイ人に会え」とよく先輩に言われた。その人自体に自分の本当の気持ちを感じ、その人に乗り移ってもらえるからだ。
ある社会学者はそれを「感染」といった。頭からでなく身体全体にうつされるほど影響を受け成長できるのだ。私も息子たちに感染してもらいたいけれど、私はスゴイ人でもなんでもないから多分こんな会話になるだろう。父親「お父さんがお前くらいのときは着るものは古着。食べるものも粗末で風呂も毎日なんか入れない。それでもお父さんは何とも思わなかった」。息子「それは恥ずかしいことじゃないよ、お父さん。僕だってその話を聞いても何とも思わないもん」。