> > 技ありの人間関係 > 走る! スターフライヤー
 
 
 
 
東京での仕事を終えて羽田に向かった。夜8時半の北九州空港行きの便である。私の見込み違いで空港に着いたのは出発時刻10分前。走りに走り、息を切らせて手続きゲートまで行った。ところがそこから搭乗口までさらにある。
するとそこにいた女性職員、素早くトランシーバーを手に取ると私と一緒に走りだした。その素早いこと驚くばかり。動く歩道の上をまるで跳ぶがごとく、ヒールの音をカンカンと響かせながら韋駄天(いだてん)のように先導していく。その後を必死で追う頭の薄くなったオヤジ。心臓さんごめんなさい。100mは走ったような気がする。
息も絶え絶えに飛行機に乗り込むとすぐに出発。シートベルトをしながら、一緒に伴走してくれた女性職員に不思議な感情を覚えた。これは何だろう?
私たちは小さい子どもたちが田んぼのあぜ道から電車に向かって手を振っている情景を何度も見たことがある。知り合いでもなく、何かを伝えているわけでもない。でも何かつながり合っている心地よさを味わう。このような言葉以前に私たちをつなぎ、脈々と息づいている性質のコミュニケーションは情動的(原初的)コミュニケーションと呼ばれる。この情動は「共振」することでさらに通じ合うとされる。同じような動作をすることで強まるのだ。手を振り合う。合奏する。唱和する。ラリーする。
空港で伴走してくれた彼女は共に走ることで、あたかも音叉(おんさ)が共振するように、私の心の琴線を振動させたのだ。スターフライヤーの大ファンになった。