> > 技ありの人間関係 > 最恐の酒
 
 
 
 
「このアルハラ野郎!」。学内にあるポスターの標語。アルコールにまつわる嫌がらせ、迷惑行為(アルコール・ハラスメント)への警告である。「ソフトドリンクを用意しないのも入る」。ウーン確かに、と思いながら、酒の上での失敗談を思い出した。
10年ほど前に与論島に行った。講演会も無事終わり、宴会に招待された。大杯に注がれた生の焼酎を飲み干して隣りに回す「与論憲法」という作法を習った。それが何度も巡ってきた。黒糖焼酎の口当たりの良さと場の楽しさについつい度を越した。そして意識は夢の彼方に消え去り、気が付いたら朝。宿泊所の寝床にひっくり返っていた。役所の人が心配して見に来てくれた。その後、悩み相談の時間だった。来た人の悩みは、アルコール依存症。話を聞いている私は酒のにおいでプンプン。申し訳なくて身の縮む思いだった。
「三杯目酒人を呑(の)む」と言われるように酒は怖い。でも喜びの酒もある。35年前、初月給で小さな角樽を買い実家に持っていった。両親はそれを大切に仏壇に上げて拝んでくれた。父母の後ろ姿と角樽の朱色が今も鮮やかに心に残る。
最後は、私似の酒好きの男と息子との会話。
 息子「お父さん。酔っぱらうってどんな感じなの」「そうだなー。ほらあそこにコップが2つあるだろう。あれが4つに見えたら、酔っ払いだな」息子「なるほどね。でもお父さん、コップは1つしかないよ」「そうか。安心した。この頃お母さんが2人に見えて恐(こわ)かったんだ」「確かに、お母さんの強さは酒の2倍はある」。