> > 技ありの人間関係 > 無呼吸入院体験記
 
 
 
 
「寝ているとき、呼吸をしてないよ」と妻に言われた。5年ほど前だ。妻の脅しには慣れているし、忙しいのを理由に放っておいた。テレビで睡眠時無呼吸症候群の特集があった。「寝ている間に首を絞められているのと同じ」と聞いてびっくりした。検査入院を決めた。かかりつけのお医者さんとの連携病院なので、事は早かった。夕方6時に病院に入る。パジャマに着替えて部屋にいると、7時過ぎに看護師さんが2人。体と顔と足に色とりどりの電極を付けられ、身動きもままならなくなった。
映画を思い出す。主人公は改造人間になる。悪と戦うスーパーパワー人間に生まれ変わるのだ。こんな姿はそうない体験だと思い、「携帯電話のカメラで撮ってもらえませんか」と言うと、「結構そう言われる人多いですよ。アップも撮りますか」。楽しい看護師さんたちで良かった。
明朝6時過ぎまでそのままで寝る。夜もふけてきた。体を拘束されていると、頭は活発に動くものらしい。いろんなことを思い出す。オヤジの最期の病院は、海の見えるいい病院だった。でもそう思っていたのはこちらだけ。寝たきりの父親からは空と窓の桟(さん)しか見えなかったのだと今頃気が付いた。共感を大事にと教えてきたけれど、やはり体験に勝る学習はない。翌朝、いつも通り出勤した。
2週間後に結果が出た。ギリギリ正常値。「できるだけ横を向いて寝るように」との注意だけ。よかったぁ。これで安心! でも、妻の背中を見ていると「寝ている間に首を絞められるかも」の心配は消えない。