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「あたりまえは元気のもと」

頭の毛が薄くなりとても気にしていた。あるとき床屋に行って、「薄くなったなー」と正直につぶやいてみた。店の人の「そうでもないですよ」の一言を期待した。ところが相手は黙っていたので、傷ついたけれど、その話題を避けていた時よりは、何だか気持ちが前向きに強くなった気がした。

先輩の言葉を思い出した。「欠点や弱点を人に言えるようになると、欠点からくる害から免れる」と。弱さを認める強さだろう。「生きてるだけでだいたいOK」(講談社)という本を出した、手品師のマギー司郎さん。若いころ視力も弱く手品もなかなか上達しない。

ある時「マジックうまくできないんですよね」とお客の前で正直に話した。その時のマジックは大いに受けた。だんだんとわかってきた、自分の欠点を隠そうとしていた時は手品が受けないことを。弱点や欠点を隠さずにありのままの自分をだしていくうちに「おしゃべりマジック」という新境地を拓き第一人者となった。

「言われた言葉をいつも胸においてがんばりました」と以前会った母親から嬉しい知らせが届いた。私の言葉「自分自身がどうあれば幸せかをまず考えることです。もし今、子どもたちと離れることになっても、必ず、あなたのもとに帰ってきます。心配しないで一番を自分において考えることです」。

彼女はそれまで、一番は「子ども」と考えていたので目からウロコだったそうだ。その後夫と別れ、まずは、幸福で自立した人生を目指して5年。その結果思わぬことに、今回子ども3人の親権を勝訴したとの報告だった。

学生に聞いたそんな事例。夕方の教育テレビの一場面である。さわやかなお兄さんが子どもの疑問に答えるというコーナーだった。子ども「この間、シャンプーしていたら泡が目に入ってしまってとても痛かったです。どうしてですか?」。お兄さん「良い質問だね。この世にあるものはたいてい、目に入れると痛いんだよ!」

中島俊介さんプロフィール

 北九州市立大学名誉教授
 臨床心理士・エッセイスト