> > 親子でコミュニケーション術 > 具体的に自分の言葉で話させよう
 
 
 
 

毎学期末、「ほめ言葉のシャワー」という取り組みを行います。一人1枚、日めくりカレンダーを描き、その日を描いた子どもが帰りの会の時に前に出て、その子のいいところを全員が発表するという取り組みです。誰でも主役になれる日を、という理由から始めました。クラスみんなの目が、その日担当の友達に注がれることになります。
1学期に行った1回目では、「すごく」「いつも」「とっても」といった抽象的な言葉が続きました。いくら私が、「自分だけが見つけた○○さんのよいところを」と呼びかけてみても、「国語の時間にすごくがんばっていました」「いつも外で遊んでいます。とっても…」といったありきたりの発表が続いてしまい、具体的に話せなかったのです。観察力も弱く、語彙(い)も少なかったのでしょう。
このような場合、速成指導をしても効果はありません。子どもたちの発言の中からよさを取り上げてほめ、少しずつそれらを全体に広げていくことを根気よくします。  「数字が入って具体的でよかったね」「会話文があったから、様子がよく分かりました」「『文武両道』という言葉で上手に価値づけたね」
3学期のある日、黒板横の日めくりカレンダーは○○さんが描いたものでした。どちらかというとおとなしい、あまり目立たない女の子です。
「○○さんにノリを貸してあげると、『ありがとう』と、優しい声で言ってくれました。礼儀正しくて…」「6時間目が始まる前に、廊下の掲示板に1分間ほど目をとめていました。知的なことにあこがれて…」。ほめ言葉が、○○さんにシャワーのように続きました。
「うれしい言葉をたくさんありがとうございました。静かな私ですが、これからもよろしくお願いします」――○ ○さんが最後にお礼を言い終わったとき、クラスみんなの“心の温度”が上がっていることが伝わってきました。
菊池省三先生
愛媛県出身。ユニークなコミュニケーションの授業を実践している、小学校の“スーパー先生”。スピーチ訓練を導入して学級崩壊を解決させたり、教え子がディベート大会県大会2連覇を果たすなど、その実績は全国で注目されている。平成15年度すぐれた教育実践教員表彰、平成16年度福岡県市民教育賞受賞。著書多数。