> > 親子でコミュニケーション術 > 主語のある会話ができるようにさせよう
 
 
 
 

「先生、紙」「お母さん、おやつ」――このように単語をただ並べただけの会話で済まそうとする子どもが増えています。状況の中で言いたいことを察することはできなくもないのですが、これでは論理力は伸びません。主語と述語の整った文で話ができるようにしたいものです。
 授業中にも時々、このことを意識した指導を行います。ある日の子どもと私のやりとりです。

「○○君は、ゴキブリは好きですか?」と、突然一人の男の子を指名して聞きました。男の子は、苦笑いをしながらも素直に、「いいえ」と答えてくれました。普通は、この答え方で十分です。しかし、筋道の通った話がよりできるようになるためには、主語と述語と目的語が必要です。 
そこで、○○君が答えた「いいえ」を黒板に書き、 「『ぼくは』、を入れよう」(「ぼくは」を書き加えた)と主語を押さえました。
 そして、「いいえ」の横に「きらいです」と書きました。つまり、述語を書いたのです。その主語と述語のある文を「ぼくは、きらいです」と男の子に読んでもらいました。
最後に、「きらいです」の上に「ゴキブリは」という目的語を板書し、もう一度最初の問いをしました。
 「○○君は、ゴキブリは好きですか?」「いいえ。ぼくは、ゴキブリはきらいです」。やっと整った文になりました。

英語では、会話の多くは、「I(アイ)」から始まります。だから、常に「自分」を意識することができます。しかし、日本語で「私は」を口にすることはあまりありません。多くの場合、省略して述語だけになってしまいます。相手に内容を誤解されず、論理的に伝えるための力を伸ばすスタートとして、主語のある会話を心がけさせたいものです。
 家族みんなで「ひと言ことば禁止週間」を作るのも1つの手です。
菊池省三先生
愛媛県出身。ユニークなコミュニケーションの授業を実践している、小学校の“スーパー先生”。スピーチ訓練を導入して学級崩壊を解決させたり、教え子がディベート大会県大会2連覇を果たすなど、その実績は全国で注目されている。平成15年度すぐれた教育実践教員表彰、平成16年度福岡県市民教育賞受賞。著書多数。