> > 親子でコミュニケーション術 > 相手に合った言葉“遣い”をさせよう
 
 
 
 

「先生、これでいいん?」
 「ノート持って行くの?」
 こんな言葉遣いをする子どもが増えました。丁寧に話せないのです。誰に対しても「友だち言葉」で会話をしてしまうのです。

「『ことばづかい』と書ける人いますか?」と聞くと、得意げに前に出た男の子が、「言葉使い」と黒板に書きました。ほかの子どもたちも、何も疑っていません。  「残念。違います」。こう言って、正しく「言葉遣い」とその横に書きました。不思議そうに見ている子どもたちに、「『使う』と『遣う』はどう違うか調べなさい」と続けて言いました。
「遣う」という言葉は、派遣や遣唐使などの用例からも分かるように、「送る」「行かせる」といった意味を持つことに子どもたちは気づきます。続けて、「気遣い」「心遣い」と調べさせると、「遣う」には「使う」とは異なり、向かうべき対象があり、その時の気持ちや心の「工夫」が必要なのだと理解し始めます。
「あなたたちが言葉を向ける相手にはどんな人がいますか」。こうノートに書かせ、発表させます。友達、親、家族、親せき、先生、お客さん…。「『~でいいん?』『~行くの?』といった言葉の遣い方をしていたら、そのような人との関係が広がりますか?」子どもたちは、神妙な顔をして聞いています。
「相手に合った言葉を選ぶことが大切です。相手によって言葉の遣い方は当然異なってくるのです。そうしないと、友だち同士、話の合う仲間だけ、『わかる』相手とだけしか会話ができなくなりますよ」
言葉は他者との関係をつなぎ、社会生活を営む前提となるものです。年齢や考え方の違う相手に対してもきちんと会話のできる力を育てたいものです。今年の学級目標の1つに、「敬体での会話ができるようになろう」をつけ加えました。
菊池省三先生
愛媛県出身。ユニークなコミュニケーションの授業を実践している、小学校の“スーパー先生”。スピーチ訓練を導入して学級崩壊を解決させたり、教え子がディベート大会県大会2連覇を果たすなど、その実績は全国で注目されている。平成15年度すぐれた教育実践教員表彰、平成16年度福岡県市民教育賞受賞。著書多数。