> > 親子でコミュニケーション術 > ハキハキと美しい日本語で!
 
 
 
 

この連載の最初の頃にも書いたことですが、多くの子どもの声は、“小さくて、速い”という欠点があります。つまり、「出す声」になっていないのです。ただ自然に「出る声」なのです。教室全体に伝わらない声なのです。表現する場の状況を把握する力や相手意識が弱いからなのでしょう。「誰に」「何のために」話すのかを意識していない声なのです。
このような状態では、学級みんなで行う学習は成立しません。話し手にも聞き手にも不満が残ります。そこで、次のような指導を行います。
 授業中に指名して、その子どもが話し始めるその前に、 「ハキハキと美しい日本語で」と言うのです。ビシッと言うのがコツです。  具体的には、「○○君」と指名したすぐ後に、本人がいすから立ち上がろうとする間に、「ハキハキと美しい日本語で」と言うのです。本人が発言するまでのほんの数秒もない時間です。子どもは、私のその声を聞いて話し始めるのです。
何でもないことのようですが、これを言うと子どもの声が違ってきます。「出る声」ではなく「出す声」になるのです。みんなで学習するために必要な声になるのです。
 発言前に「ドキッ」とするのでしょう。そして、自分の発言の「みんなへの影響」を考え始め、伝えることの責任を感じるのでしょう。

そもそもみんなへの発言をするはずなのですから、これくらいの「ドキッ」は必要です。みんなと一緒に教室で学習しているのですから。
 話し手は内容を正確に伝えられ、聞き手は集中して聞いて理解できる、つまり伝え合うことができるのです。何かを伝えたいときには、自信を持って相手に届けるための声が必要です。声が届けばお互いに楽しめます。
「出す声」で話すべきです。
「ハキハキと美しい日本語で」。
菊池省三先生
愛媛県出身。ユニークなコミュニケーションの授業を実践している、小学校の“スーパー先生”。スピーチ訓練を導入して学級崩壊を解決させたり、教え子がディベート大会県大会2連覇を果たすなど、その実績は全国で注目されている。平成15年度すぐれた教育実践教員表彰、平成16年度福岡県市民教育賞受賞。著書多数。