> > 親子でコミュニケーション術 > 「しかし」のある考え方もさせよう
 
 
 
 

「A君が、じゃまをしてきた」「Bさんが、自分勝手…」といった「小さなトラブル」が、教室の中ではよくあります。お互いに必死になって、相手の非だけを責めます。
 「ぼくが何もしていないのに…」「私にはいつもそうしてくるんです…」。そんなときは、「そう。じゃあ、君の言いたいことを書いてくれる?」と、落ち着かせて事実を確認するためにも、本人の言い分を紙に書かせます。もちろん相手の子どもにも、自分の言い分を書かせます。

たいていの場合、お互いの書いていることに「ズレ」があります。自分の言いたいことだけだからです。双方が書き終わったときに、「先生に見せて」と言って、持ってこさせます。どちらも、「絶対に私の方が正しい」「A君がいけないんだ」といった顔をしています。書いている内容もそうなっています。そして、私が読んでいる顔を真剣に見ています。
読み終わった後、私は、書かれた内容の最後に、
 『しかし、』
と、一言書いて、「続きを書いてきてくれる?」とだけ言います。子どもは、「?」という顔をします。
 2度目に持ってきた作文は、「A君は、私に…。『しかし、』私にもいけないところがあったと思う。あの前に、無視したようなところがあったからです…」となっています。多くの場合、相手ではなく、自分自身の非も反省しています。

お互いに読み合うように言って読ませ、その後に握手をさせます。最後に、「どうしても、まだ言いたいことがある?」と聞くと、ほとんどの場合、「いえ、もうありません」と答えます。 
 「じゃあ、今まで以上に仲良くしようね」。こう言うと、子どもは優しい顔になります。自分の中に、「しかし」のある子どもに育ってほしいと思っています。
菊池省三先生
愛媛県出身。ユニークなコミュニケーションの授業を実践している、小学校の“スーパー先生”。スピーチ訓練を導入して学級崩壊を解決させたり、教え子がディベート大会県大会2連覇を果たすなど、その実績は全国で注目されている。平成15年度すぐれた教育実践教員表彰、平成16年度福岡県市民教育賞受賞。著書多数。