> > 親子でコミュニケーション術 > まず受容して子どもの言葉を引き出す!
 
 
 
 

「先生、これでいいですか?」 
 この言葉をよく聞きます。絵を描き終えた子どもが、側に来てこう聞くのです。  このような時に、次のような3つの「疑問」が私の中に起こります。

(1) 何を「いいですか?」なのか?(それまでの指導について聞いているのか。ただ漠然と全体の出来映えを聞いているのか)
 (2)本人の自己評価は?(描いたことに満足しているのか。もうやめたいのか。そうでないのか)
 (3)願いや見通しは?(単純に承認が欲しいのか。もうやる気もなくて解放を求めているのか。もし「いいよ」と言われたら何をしようとしているのか)
 「自分がいいと思うのだったらそれでいいよ」などと言って対応してもいいでしょう。しかしこの対応では、教師側の考え(=子どもの絵は、どこまでも子どものものだから、良いか悪いかの判断も、子どもにさせるべきだ)の押し付けであり、大した効果はないようです。子どもは無言でうなずくだけでしょう。

また、先の3つの疑問をそのまま問うてもいいでしょう。しかしこれも、子どもの思いを逆に無視して問い詰める感じにしかなりません。苦し紛れに適当な思いつきや差し当たりのない考えを口にするだけでしょう。ですから、この方法も効果はあまり期待できません。
私は次のように話します。「いいねえ! さあ、あなたは先生がどこを『いい』と思ったか当てられるかな?」
まず「いいね」と受容し、その上で「先生はこの線が好き。とってものびのびしていて気持ちがいい…」などと語ってあげます。すると子どもは自分のその絵に対する思いを素直に話し始めます。「ここは気に入っているんだけど反対側の色が…」「ここをどうしたらいいのか…」。自然な会話が生まれます。
菊池省三先生
愛媛県出身。ユニークなコミュニケーションの授業を実践している、小学校の“スーパー先生”。スピーチ訓練を導入して学級崩壊を解決させたり、教え子がディベート大会県大会2連覇を果たすなど、その実績は全国で注目されている。平成15年度すぐれた教育実践教員表彰、平成16年度福岡県市民教育賞受賞。著書多数。